水工系コンサルタントのための数値解析講習会
担当講師:重枝未玲教授
九州工業大学
数値解析の基礎から応用まで、水理学・河川工学・数値流体力学の実践的スキルを身につける講習会です。Pythonプログラミングを通して実践的な解析手法を学びます。
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講習会の特徴
  • 数値解析の基礎から水理学・河川工学・数値流体力学での応用まで説明します
  • Pythonプログラムを使って例題の解析を行います
  • 理論から実践まで進み、数値解析の知識とプログラミングスキルを身につけられます
  • 数値解析の初心者から経験者まで対応した内容です
  • 参加者の理解度に応じて各テーマの講習を進めます
開催日程とテーマ
※今年度中にすべてのテーマが完了しない可能性もあります。その場合は来年度の開催になります。予めご了承ください。
参加費用
今年度全5回に参加するための費用となります。
テーマ1: 非線形方程式の解の求め方
二分法
区間を半分に分けながら解を絞り込む基本的な手法です。収束は遅いですが、確実に解を求めることができます。
反復法
初期値から繰り返し計算を行い、解に収束させる手法です。収束条件が重要となります。
Newton-Raphson法
接線を利用して高速に解に収束する手法です。微分可能な関数に対して効果的です。
講習会では、これらの手法を用いて等流水深の計算や管路の摩擦損失係数の計算を行います。非線形方程式の解法を水理学の実際の 問題に適用することで、理論と実践の橋渡しを行います。参加者はPythonプログラムを使って実際に計算を行い、結果をグラフ 化する方法も学びます。
テーマ2: 連立1次方程式の解法
講習会では、管路網の方程式とレベル3の平均流速式の立て方から、各手法の特徴、利点、欠点を理解し、問題に応じた適切な解法を選択できるようになります。Pythonプログラムによる解法の実装、結果の可視化まで一連のプロセスを体験します。
テーマ3: 常微分方程式の数値解析法
講習会では、これらの手法を用いて貯留関数法による流量ハイドログラフの計算や水面形計算などの河川工学・水理学の問題に適用します。実際の河川の流れや洪水予測などの実践的な問題に取り組むことで、常微分方程式の数値解法の重要性と応用範囲の広さを理解します。
テーマ4: 偏微分方程式の数値解析法の基礎
偏微分方程式の分類と解法
偏微分方程式は物理現象を記述する上で非常に重要です。偏微分方程式を以下の3つの型に分類し、それぞれの特性と数値解法について学びます:
  • 双曲型偏微分方程式 - 波の伝播を表す方程式(例:波動方程式)
  • 放物型偏微分方程式 - 拡散現象を表す方程式(例:熱伝導方程式)
  • 楕円型偏微分方程式 - 定常状態を表す方程式(例:Laplace方程式)
各型の方程式に対する適切な差分法などの数値解法を理解し、安定性や収束性についても詳しく解説します。Pythonを用いた実装方法と、結果の可視化テクニックも学びます。
講習会では、各型の代表的な偏微分方程式に対して数値解を求めるPythonプログラムを実際に作成し、結果を視覚的に確認します。これにより、理論と実践の両面から偏微分方程式の数値解法を理解することができます。
テーマ5: 偏微分方程式の数値解析法の応用
非圧縮性流体の数値解析
ここでは、これまでに学んだ全ての偏微分方程式の型(双曲型、放物型、楕円型)が含まれる非圧縮性流体の解析法について学びます。特にMAC(Marker and Cell)法を中心に、流体解析の基本的な考え方と実装方法を解説します。
MAC法は流体の速度と圧力を交互に解くことで、非圧縮性の条件を満たす解を求める手法です。格子上で速度と圧力を適切に配置し、時間発展させることで流れの様子を再現します。
ハーゲンポアズイユ流れの特徴
  • 円管内の定常層流
  • 放物線状の速度分布
  • 壁面でのゼロ速度条件
  • 圧力勾配と粘性力のバランス
この古典的な問題を通じて、流体力学の基本原理と数値解析手法の関係を深く理解することができます。
講習会では、円管内の層流流れ(ハーゲンポアズイユ流れ)を例に、実際のプログラムを作成して解析を行います。理論解と数値解を比較することで、数値解析の精度や妥当性についても考察します。また、より複雑な流れの解析への発展方法や、3次元問題への拡張についても触れ、数値流体力学の奥深さと可能性を紹介します。

本講習会の対象者
講習会は以下の方を対象としています。
  • 水理・数値解析の基礎習得したいという意志があり、講習会の予習、復習ができる方
  • 水理学に関わる基礎的な知識がある方
  • 基本的なプログラミングの知識(変数、ループ、条件分岐程度)がある方
  • 全5回すべてに参加できる方
参加に必要な準備
講習会に参加するには以下の準備をお願いいたします。
  • iRICソフトウェアversion4.x以降をインストールしてあるパソコン
  • オンライン環境(※講習会はすべてオンラインで開催します)
  • Python開発環境はiRICに同梱されているPythonを利用する予定です。独自のPython環境を利用されたい方は予めNumPy, Matplotlib, Pandasをインストールしておいてください
インストール方法や環境構築に不安がある方は、講習会前に個別サポートも行っていますので、お気軽にご相談ください。

参加申込み&問合せサイト
上記をご確認いただいた上で、本講習会に参加を希望される方は、以下のリンクから参加申込みをお願いいたします。
募集期間:~ 2025年9月30日まで
申込み&問合せサイト > こちら
主催者情報
本講習会は一般社団法人 iRIC-UCが主催しています。
水工系の数値解析技術の向上と普及を目指し、実践的な知識と技術を提供しています。主催者の詳細については、公式ウェブサイトをご覧ください。

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